ねえひつじさん、最近ニュースで「中東で戦争」とか「原油が高騰」って聞くんだけど、あれって僕たちの株にも関係あるの?
いい質問だね、カブくん。実はとても関係があるんだ。2026年2月末から3月にかけて起きた出来事は、日本の株式市場にも大きな影響を与えたんだよ。今日はその仕組みをデータと一緒に見ていこう。
そもそも何が起きたの?
まず、何が起きたのか教えて!
2026年2月末から3月にかけて、たった1か月の間にこれだけの出来事があったんだ。
- 2月28日: 米国とイスラエルがイランへの共同軍事作戦を開始。核関連施設や軍事拠点が攻撃対象に
- 3月2日: イランがホルムズ海峡を封鎖。タンカーの通航量が90%以上減少
- 3月11日: IEA(国際エネルギー機関)が過去最大の4億バレルの石油備蓄放出を決定
- 3月23日: トランプ大統領が攻撃の一時停止を発表。原油が1日で約14%下落
- 3月26日: 国連安保理が停戦を求める決議を採択(賛成13、棄権2)
1か月でこんなに!?すごい勢いで動いてるんだね……
そう、だからこそ市場への影響も大きかったんだ。次は「なぜ遠い国の戦争が日本の株に影響するのか」、その仕組みを一緒に見てみよう。
なぜ遠い国の戦争で日本の株が下がるの?
それがいちばんの疑問なんだよね。イランって日本からすごく遠いのに、なんで日経平均株価が下がるの?
カギになっているのは「石油」だよ。順番に説明するね。
ホルムズ海峡は「世界の石油の大動脈」
まず知ってほしいのがホルムズ海峡という場所。ペルシャ湾の出口にある狭い水路で、いちばん狭いところは約33kmしかありません。
ここがどれだけ大事かというと、世界の海上石油輸送の約20%がこの海峡を通っているんだ。いわば世界の「石油の大動脈」だね。
そんな大事な場所が封鎖されたの!?
そうなんだ。封鎖されると中東からの石油タンカーが通れなくなる。すると石油の供給が一気に減って、価格が急上昇するんだよ。
原油が高くなると → 企業のコストが増える → 株が下がりやすい
石油が高くなると、ガソリン代、電気代、物流コスト、プラスチックなどの原材料費――あらゆるものが値上がりするよね。日本は石油のほとんどを輸入に頼っているから、影響を特に受けやすいんだ。
企業にとってはコスト増加。そうなると「利益が減るのでは?」と考える人が増え、株が売られやすくなる傾向があります。
流れを整理すると、こうなります:
戦争 → 海峡封鎖 → 石油の供給が減る → 石油が急上昇 → 企業のコスト増 → 「業績が悪くなりそう……」 → 株が売られやすくなる
なるほど……!石油を通じて全部つながっているんだね。
そのとおり!もうひとつ大事なのが投資家の心理だよ。
投資家の「不安心理」も影響する
戦争のような先行きが読めない出来事が起きると、投資家の間で「怖いから、値動きの大きい資産は減らしておこう」という心理が広がりやすくなります。これをリスクオフと言います。
株式は値動きが大きい資産の代表格。だからリスクオフの場面では真っ先に売られやすい傾向があります。
みんなが不安になって株を売る → さらに株価が下がる、ってこと?
そういう面もあるね。人間の心理が市場を動かすことは珍しくないんだよ。
実際、市場はどう動いた?
仕組みはわかったよ!じゃあ、実際の数字を見てみたい!
主要な指標の動きを表にまとめたよ。
| 指標 | 戦争前 | 最も動いた時点 | 変動幅 |
|---|---|---|---|
| 日経平均株価 | 59,332円(2/26高値) | 52,728円(3/9) | 約-11% |
| S&P 500 | 6,879(2/27) | 6,477(3/26) | 約-6% |
| 原油(Brent) | 約(2月末) | (ピーク) | +69% |
| 為替レート | 156円台(2月末) | 159.70円(3/26) | 円安に約3.7円 |
日経平均株価は約11%の下落
日経平均株価は2月26日の59,332円から、3月9日には52,728円まで下落しました。
11%ってピンとこないんだけど、どれくらいの大きさなの?
たとえば100万円分の株を持っていたとすると、評価額が約89万円になる計算だよ。3月9日には一時4,200円を超える下げ幅を記録して、かなりの出来高を伴う大きな動きだったんだ。
米国のS&P 500も-7%超
S&P 500は米国の代表的な株価指数で、大企業500社の株価から算出されます。NYダウ(ダウ平均株価)と並んで米国市場の動きを知る重要な指標です。
S&P 500も約6%の下落。そして市場の不安度を示すVIX指数——「恐怖指数」とも呼ばれる指標が、2月の平均16.1から3月は24.3に跳ね上がったんだ。
恐怖指数って名前こわい……
名前はこわいけど、投資家がどれくらい不安を感じているかを数字で見られる便利な指標なんだよ。数字が大きいほど不安が大きいという意味だね。
原油は+69%の急騰
原油の価格指標には主に2種類あります。Brent原油は国際的な指標、WTI原油は米国の指標です。
- Brent原油は2月末の約71ドルからピーク時に120ドルまで上昇(+69%)
- WTI原油は2月の平均78.50ドルから3月26日時点で94.48ドルに上昇
IEAが過去最大の4億バレルもの石油備蓄放出を決めたのは、それだけ供給不安が深刻だったということだよ。
為替レートは円安方向に
為替レートも動きました。ドル円相場は2月末の156円台から3月26日には159.70円へ。
なんで戦争で円安になるの?
原油は世界的にドル建てで取引されるんだ。だから原油が高くなるとドルの需要が増えやすい。さらに日本は石油を大量に輸入しているから、原油高で貿易赤字が膨らむとの見方も円安の一因になったんだよ。
過去の紛争では、どうだった?
こういうことって今回が初めてなの?過去にもあったの?
過去にも軍事衝突で市場が大きく動いたことは何度もあるよ。いくつかデータを見てみよう。
※ これらは過去の事実であり、同じパターンが将来にも当てはまるとは限りません。
湾岸戦争(1990年)
1990年8月にイラクがクウェートに侵攻。原油は1バレル17ドルから36ドルへ(+90%)。S&P 500は-16.9%下落。翌年の多国籍軍反撃後はS&P 500が+13.6%回復しました。(ただし、過去の傾向が将来にも当てはまるとは限りません)
イラク戦争(2003年)
米国がイラク侵攻を開始した翌日、ダウ平均は+2.3%上昇。開戦前にすでに大きく下がっていたため、「噂で売り、事実で買い」の動きが見られたとされています。年末には年初来+30%に。(ただし、過去の傾向が将来にも当てはまるとは限りません)
ソレイマニ司令官殺害(2020年)
2020年1月、イランの司令官が米軍に殺害された翌営業日、S&P 500は-0.7%。しかし72時間で完全回復。軍事行動が限定的だったことが影響しました。(ただし、過去の傾向が将来にも当てはまるとは限りません)
毎回けっこう違うんだね。必ず同じパターンになるわけじゃないんだ。
そう。紛争の規模、期間、関わる地域、そして石油の供給が本当に止まるかどうかで、市場の反応は大きく変わるんだ。だから「前はこうだったから今回もこうなる」とは言えないんだよ。
まとめ
- 2026年2月末に米国・イスラエルがイランへの軍事作戦を開始し、世界の金融市場に大きな影響が出ました
- ホルムズ海峡は世界の海上石油輸送の約20%が通過する要衝で、封鎖により原油は69%上昇しました
- 原油高は企業コスト増への懸念につながり、日経平均株価は約11%、S&P 500は約6%の下落を記録しました
- IEAは過去最大の4億バレルの戦略備蓄放出を決定しました
- 過去の紛争でも市場は大きく動きましたが、状況によって動き方は毎回異なります
- 2026年3月末時点で、情勢は引き続き流動的です
※ 本記事は2026年3月時点の情報に基づいています。
ご注意: 本記事は株式投資に関する一般的な情報提供・学習を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任において行ってください。


